日本財団 図書館


 

また、民間の港湾施設部分を利用する場合は、公共性の担保という側面に関しては課題は軽減されるが、石狩湾新港においては、民間部分が他港と比べ限定された部分しかないことが指摘できる。
C 岸壁には係船のみで、海上で作業を行うと想定する場合
フローティングドックを通常の作業船舶として小型船溜等に係留し、修繕作業の際には防波堤内の港内(静穏水域)または港外で作業を実施するとした場合。
《クリアすべき課題》
港外であれば規制上の問題は比較的緩やかになるといえる。しかし、当然のことながら静穏水域外における作業では、波浪等の海洋条件の影響が大きくなるため、作業環境上不利となることが否めないであろう。港内(静穏水域)で工事を営む場合、静穏度が確保され、かつ他の船舶の航行に支障をきたさない場所の確保が必要となるが、この場合には港長からの許可を得る必要がある。また、港内での(作業のための)停泊に関しては港則法等により拘束を受けるため、許可を巡る調整が必要である。
D フローティングドック係船に係る諸規制面からの総合評価
石狩湾新港は元来、泊地に恵まれた天然港湾ではなく、計画的に造成された人工港湾であるため、水域占用許可を取得しやすい適地に乏しいのが実情である。また、他の港湾と異なり民間港湾施設部分も少ない。従って、本案件について岸壁等に係船した状態での事業展開を目指すとした場合、事業を行うための適地の選定が最大の課題であるといえる。
また、基地港としての係船のみで海上等での作業を志向する場合、諸規制面での課題は前者に比べクリアが比較的容易にはなるが、海上で工事を行うことの効率性や作業能率等が事業化に当たっての検討材料となってくるといえよう。
したがって、以上の条件を総合的に勘案した場合、本件計画を実現するための現実的な対応としては、道央日本海沿岸地域を視野に入れた進出地の検討が必要となる。

 

 

 

前ページ   目次へ   次ページ

 






日本財団図書館は、日本財団が運営しています。

  • 日本財団 THE NIPPON FOUNDATION